もうすぐ定年!? 年金制度改正から読み解くこれからの働き方・生き方
ライフプランニングを考えるうえで、「公的年金」をどう活用していくかは
非常に大切なことです。仕事は辞めたら収入は途絶えますし、金利が下がると
利息収入も減ります。ところが、公的年金はもちろん制度変更による金額の
上限こそあれ働いている間に年金保険料を納めていれば、「確実に」もらうことの
できる収入になります。「確定して受け取れる債権」という言い方をすると
その頼もしさがより強く感じられると思います。
そんな頼もしい年金制度ですが、昨年5月改正されています。
年金制度はいつも「破綻するのでは?」的な議論がありますが、
悪くなっている感はなく、選択肢が広がり「良かった!」という印象です。
改正の詳細は→こちら←
1、厚生年金加入の被用者対象の拡大
これまで従業員500人以上の企業で、週20時間以上働き、月8.8万円以上の給料をもらい、
1年以上働く見込みの場合は、厚生年金加入が義務付けられてきました。今後は段階的な部分も
ありますが従業員50人以上(対象の拡大)の企業で、週20時間以上働き(現状維持)、月8.8万円
以上の給料をもらい(現状維持)、2カ月以上働く見込み(対象の拡大)の場合は、
厚生年金加入が義務付けられることになります。
しっかり働く気持ちのある方には喜ばしいことですが、
経営者負担が増える点、またご主人の扶養に入って3号被保険者のメリットを享受されている方には
注意が必要な内容ですね。
2、働きながらの年金受給のルール改定
多くの方には関係ないかもしれませんが、65歳からもらえる報酬比例部分の年金が
これまで年金+お給料が28万円以上となる場合は、もらえる年金額が段階的に削減されていました。
この28万円の基準額が47万円に引き上げられます。
年金がもらえる年齢になり、
「頑張ってお給料をしっかりもらえるよう働いたら
もらえる年金がカットされた」というのは、頑張って働いている側からすると、
「じゃあ働かない方が良いのか!?」という気持ちになることもあり、悪循環です。
この点が一定是正されることになりますね。
3、年金の繰り下げ受給が75歳まで可能に
「働ける間は働いて、働けなくなってから年金をもらう」というのは一つの有力な選択肢です。
この選択肢を支える仕組みに繰り下げ受給があり、70歳まで繰り下げ受給が可能で、
最大42%年金額が増える仕組みがあります。この70歳という年齢が、75歳まで引き延ばされました。
これにより最大84%年金額が増えることになります。100歳まで生きても安心して生きるための道として、
75歳まで働く→75歳から84%アップの年金をもらうという道が開かれたことになります。
もちろん、「せっかくの年金だから早くもらいたい!」というニーズもありますから、
働き方、生き方、考え方を天秤にかけて、選択していく事が大切ですね。
4、iDeCoの利用をよりフレキシブルに
私的年金の仕組みとしてとても人気のiDeCoですが、加入できるのは60歳まで、
企業型の確定拠出年金を導入されている企業にお勤めの場合加入できない等、
なにかと不自由な点がありました。今回の改正により、
・2号被保険者(企業にお勤めで厚生年金に加入)であれば、65歳まで加入できるようになりました。
・受給時期は70歳までに受給開始しないといけなかったものが、75歳からでも受給開始できるようになりました。
・企業型確定拠出年金に加入されている場合、私的なiDeCo加入は非常にハードルが高かったのですが、
個々人の判断で私的iDeCoを開始しやすくなりました。
いづれも悪い改定ではなく、選択肢を広げる改定ですね。
もしかしたら、「げー、長く働かないといけないやん。」
という反応をされる方もおられるかもしれませんが、働き方ややりがいをもった仕事選びというのは、
すべて社長、雇用主の問題という訳ではありません。もちろん、社長の意向やご縁で働く会社の
環境は、働きやすさ、働き甲斐に大きく影響を及ぼしますが、少なくとも「すべて」ではありません。
何を仕事に選び、やりがいを持って取り組むかは基本自由です。
私自身も12年勤めた保険会社を一念発起して退職独立しました。
指示される仕事が無くなった分、自分の仕事は自分で創り出し、
選んできた自負はあります。責任とやりがいの両方が伴います。
働き方改革というのはもしかしたら、
意識改革のことを言うのかもしれません。
制度がかわる時代背景を理解して、大変だ大変だと不安に繋げるのではなく、
追い風に感じられるような、悔いなく人生を歩んでいきたいですね。
健康な体は、お金以上に大切な何よりの資産ですね。
ファイナンシャルプランナーと一緒に作るライフプランニングでは、
そんな人生航路を描く作業をしています。
人生航路を描いても行動が伴わなければ、
まさしく「絵に書いた餅」になってしまうだけです。
ファイナンシャルプランナーがいることで、
行動支援、サポートをさせて頂くことができ、
思いえがいた人生の実現可能性を高めることができます。