「仕組債って良いのですか?」という質問への回答

仕組債という債券をご存知でしょうか?

債券ではあるけれども、デリバティブの仕組みを取り入れており、
「デリバティブの仕組みを取り入れた債券」のことを仕組債と呼びます。
なんだかよく分かりませんね。

11月23日のの日本経済新聞でも手数料開示について掲載されていました。

以下日経新聞抜粋

「近年は金融商品の販売会社が投資初心者に複雑で高リスクの
仕組債を売り、トラブルになる事例が増えていた」

リスク説明が不十分でこの度の株価下落で大幅に
損失を被る方が増えたことで、仕組債の販売を規制する
金融機関が増えています。

ライフプラン相談の中で、
「○○銀行から勧められて買ったのですが
仕組債ってどうなんですか?」

という質問を頂くことがよくあります。

仕組債の全てを細かく把握しているわけではないですし、
あまり細かく説明することはライフプランの趣向ではありません。
一旦は簡単に説明するようにしています。

仕組債の種類として挙げられるもののだけでも、

・株式指数連動債
・EB債
・デュアルカレンシー債
・リバースデュアルカレンシー債
・PRDC債
・リーバースフローター債
・CMSリンク債
・コーラブル債

等々 沢山種類が出てきます。名前だけですでに複雑です。

持ってる方にどのタイプかを
聞いてもまず答えられる方はおらず、
「○○銀行に言われるまま、大きなリスクはないからと手続きした」
そんな答えが返ってきます。

そのうえで相談者さんからは
「これってどう思いますか?」
と聞かれるわけです。

一つのお返事として

「ノックイン条項がどのように設けられていて、
そのリスクは背負ったうえで仕組債を買っている
という認識くらいはせめてご理解下さいね。」

というお返事をしています。

ノックイン条項とは株価などの指数が一定水準以下になれば
その水準で早期償還しますよという条項です。

例えば仕組債の一種、EB債は株価が下落すれば、
下落した株価で仕組債は償還されることになります。

安全な取引というより、
見た目は債券の安定利回り(「見た目」ですよ)なんだけど、
リスクは株の下落リスクをしっかり受けています。

「債券みたいに見える株」と言った方が分かりやすい気もします。

これに退職金の大部分を投入というのは、
途方もなく恐ろしいことに私映ります。

万一、株価がノックイン価格まで下がってしまうと
安全弁はなく、まともに株のリスクを背負います。

ある日突然・・・

「えーっ、安定利回りで貸してたと思ってたお金が
返してもらったら紙くずになっちゃった・・・真っ青」

みたいな話がありえるわけです。

一般論ですが、
ノックイン価格が高めに設定されていると利回りは高めに
設定されており、魅力的な債券に見えます。

ノックイン価格が低めに設定されると利回りも低めで
魅力も低く見えます。

一方、ノックイン価格高め(利回り・魅力高め)
ということは株価が下落するとすぐに損失を確定するよ
ということになります。

この点、損失は出ますが、リスクは小さいと言えます。

もう一方で、ノックイン価格が高めに設定されていると
利回りは高く設定されています。
利回りが高いという事は、リスクは高いことを指します。

リスクが小さいとも言えるし、
高いとも言える「仕組み」が共存しています。

自分で書いてて言うのもなんですが複雑です。

「債券なんか株なんかはっきりせい!」
という突っ込みに対しては
「債券でもあり株でもあるんです。そういう仕組みなんです」
というのがどうも答えな気もします。

私のレベルでは、こういう仕組みを
良いのか悪いのか評価しづらいですし、
良いとも悪いとも言えます。

そんな非常に中途半端などっちつかずの
立ち位置のブログで申し訳ありません。

投資相談のうえで、私ではなく仕組債の良い悪いを
判断をしてくれるプロもいるでしょうから、
信頼できるプロの方にご相談頂くというのも一つだと思います。

ただ、その場合も
最後にあるのは、投資は自己責任ですよという原則になります。

個人的には債券はシンプルに「一般債券」から探せば
まずはいいんじゃないでしょうか?と思います。

最近は米国金利の上昇に伴い、ネット証券でも、
「この債券いいんじゃないでしょうか?」
というものに出会います。私も最近買いました。

金融機関窓口ではまず出てくることはありませんから、
ご興味ある方はご自身で調べてみることが最初の一歩かと思います。